フラダンスと並ぶハワイの代名詞として、日本人にとってはなじみの深いウクレレ。その取り組みやすさから、趣味として始める人も年々増えています。
そんな身近な存在になりつつあるウクレレですが、管理人はウクレレを始めようと思ったときこんな疑問を持ちました。
「ウクレレって、ギターと何が違うの?」
ある意味ウクレレよりも身近な存在のギター。
サイズが違うのはもちろんわかります。でも、音は違うの?演奏方法は違うの?価格は?といろいろと疑問がわきます。
あるいは、「ギターを始めたいけど、難しそう・・・。ウクレレは簡単って聞いたけど、ホント?」と迷っている方もいることでしょう。
実はいざその違いを知ってみると、意外とおもしろい発見があります。今回はそんなウクレレとギターの違いについて、ちょっとだけ詳しく解説したいと思います。
目次
サイズの違い
ウクレレとギターにはいろいろな違いがありますが、まずはもっともわかりやすいサイズの違いをみてみましょう。
*比較されやすいアコースティックギターで比べています。
大きさ・重さの違い
一般的なソプラノウクレレの全長は50〜55cm。これに対しアコースティックギターの全長は1m前後。全長ではギターのほうが2倍近く長く、ボディ(胴体)の体積で比べると、約4倍の大きさです。
さらに重さで比較すると、ウクレレが約400gなのに対し、アコースティックギターは約2kg。(どちらもマホガニー材の場合)
清涼飲料水でたとえるなら、500mlペットボトルと2ℓペットボトルほどの重さの違いがあることになります。
ウクレレが小さく感じますか?それともアコギが大きく感じますか?
サイズが違うと、音はどう変わる?
どのような楽器でもたいてい、サイズが大きくなればなるほど低音成分が多くなり、音の厚みが増します。
特にボディの大きさが違うということは、音が共鳴する部分の大きさが違うということ。
ギターのほうが大きく迫力のある音に聴こえるでしょう。
音の大きさの差を比較するならこんな感じでしょうか。
音の大きさ
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楽器
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どれくらいの音量?
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大
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アコースティックギター | かなり大きい。ご近所さんに聴こえるレベル。 |
---|---|---|
中
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ウクレレ | ふすま越しの家族には聴こえるかも。でもお隣さんには全然響きません。 |
小
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エレキギター | アンプ(増幅器)につながないと音が聴こえない(くらい小さい)。 |
家で夜に練習したい、という人は確認しておきたいポイントですね。
長さも音に影響する
一般的に弦楽器は、弦の長さが短いほど音の余韻(サスティーン)も短くなります。
そのためウクレレはギターに比べ音の余韻が短く、単音を弾いたときの音が「テン」といった可愛らしい印象になるのです。
弦の違い
ウクレレとギターでは、弦の材質や本数も違っています。
弦の材質
ウクレレにはナイロン制やフロロカーボン製の弦が使われます。ギターのなかでも、クラシックギターは同様の弦が使われており、比較的ウクレレに近い音です。
いっぽう、弾き語りなどでもよく目にするアコースティックギター(=フォークギター)や、エレキギターは金属弦を使用しており、その音質はウクレレとはまったく異なります。
金属弦の音は、いわゆるアタック音の強い、チャキッとした鋭い音になります。逆にウクレレはというと、余韻が短く軽やかな印象がある反面、ひとつひとつの音は丸みのある優しい音です。
実は管理人は自分の子供が生後数か月のころに、アコースティックギターとウクレレの両方の音を聴かせたことがあります。
おもしろいことに、アコースティックギターだと驚いたような表情で固まってしまった赤ん坊が、ウクレレの音を聴かせたとたんにムニャムニャと眠りはじめた、という経験があります。
弦の本数
ウクレレを知らない人にとっては、弦の本数も大きな違いでしょう。
ギターの弦は6本ありますが、ウクレレには4本しかありません。4本というとバイオリンと同じ本数ですね。
そして、ギターの1弦はウクレレのどの弦よりも細く、6弦はどの弦よりも太くなっています。
一般的に、弦というのは太ければ太いほど音が低くなり、細ければ音は高くなります。
つまり、もっとも低い音からもっとも高い音までの音の数(=音域)はギターのほうが多いのです。その差は約2倍。音域の幅が広いぶん、ギターは伴奏楽器としてもよく用いられるんですね。
音域だけでなく、弦の本数そのものも音の違いに影響しています。
ウクレレはギターより弦の本数が少ないので、より短い時間で瞬間的に全ての弦をかき鳴らせます。
あえて表現するなら、ギターは「ジャラ~ン」ウクレレは「シャキーン」といった感じで、音を聴く限りではもはやまったく別の楽器。
下記の動画でウクレレとアコギの音の違いを弾き比べてみました。ぜひ参考にしてみてください。
【演奏動画】
ウクレレとギター、どっちが簡単?
このあたりで、気になっている人も多いであろう「ウクレレとギターはどっちが簡単?」という疑問に答えましょう。
結論から言うと、初心者がとっつきやすいのは間違い無くウクレレです。
理由は次の通り。
大きさの問題
まず体格が小柄だとギターは大きすぎて持ちづらい、という声を聞きます。
ただそれ以上に人を選ぶのがネックの長さです。
ギターのほうがネックが長いぶん、指を大きく広げなければなりません。これが手の小さな人は結構苦労します。
弦の本数の問題
ウクレレのほうがあつかう弦の数が少ないぶんギターよりとっつきやすいです。特に初心者のころはその差を強く感じるでしょう。
弦の硬さの問題
これが意外と大きな理由かもしれません。
ウクレレはギターにくらべて弦の張力(テンション)が弱く、左手で弦を押さえるのが格段にラクなのです。
ギターも慣れてしまえば大した差はないのですが、金属弦ということもあってか最初は指先が痛いと感じる人も多いよう。
もちろんギターはギターの良いところがある
なんだかギターのネガティブキャンペーンのようになってしまいましたが、弦の本数の違いなどは、裏を返せばギターのほうがアレンジの幅が豊富ということ。
それこそがギターが多くの人を惹きつける理由でもあります。
ただしできることが多いぶん、やはり人前で見せられるレベルになるにはそれなりの時間を要します。
初めての1曲が弾けるまでにかかる時間でいえば、確実にウクレレのほうが短いでしょう。
*ウクレレが弾けるようになるまでの練習の流れや、初心者におすすめのウクレレの選び方はこちらの記事がおすすめ。
音階やコードの違い
さてここからはもう少し詳しく、音楽的な違いにも注目してみましょう。
ギターとウクレレでは、チューニングの音階も異なります。
わかりやすく言うと、それぞれの弦をどこも押さえずに弦を鳴らした時の音程が違う、ということです。
ウクレレのチューニングは、1弦から順に、
- 1弦=A(ラ)
- 2弦=E(ミ)
- 3弦=C(ド)
- 4弦=G(ソ)
です。
これに対してギターは、
- 1弦=E(ミ)
- 2弦=B(シ)
- 3弦=G(ソ)
- 4弦=D(レ)
- 5弦=A(ラ)
- 6弦=E(ミ)
となります。もともとのチューニングが違うので、基本的なコードの押さえ方も異なります。つまりギターのコード表はウクレレには使えない、ということですね。
(厳密に言うと、ギターのハイコードの押さえ方はウクレレにも適用できるのですが、ややこしいのでそれはまた別の記事で。初心者はウクレレ用のコード表を見るのがてっとり早いです。)
ギターの楽譜やコードをウクレレで弾いてみる
チューニングの違いがサウンドの印象を変える
また、音階の違いを見比べたときに気づくのが、ウクレレは高い音の弦(1弦、4弦)に低い音の弦(2弦、3弦)が挟まれている、ということです。
ウクレレをジャカジャカと弾くと、上から弾いても下から弾いても、比較的高い音がいちばん最初に鳴ります。ウクレレのコロコロとした愛嬌のあるサウンドは、実はこのチューニングによるところも大きいのです。
チューニングが違うと、弾ける曲も違うの?
チューニングが違うとはいえ、ウクレレは12音階すべて鳴らせるので、どんな曲でも演奏可能です。12音階とはドレミファソラシと、さらに#や♭といった半音階を含んだすべての音階のこと。
厳密にいえば、ギターのほうがオクターブ数が多い(いちばん低い音からいちばん高い音までの出せる音程の数が多い)ので、アレンジのバリエーションは豊富といえます。たとえばアルペジオなどは、基準となる低音がしっかり鳴らせるギターのほうが表現の幅は広いです。
もちろんウクレレ特有の軽やかなサウンドのほうが似合う曲も無数に存在します。
かの有名なジェイクシマブクロ氏も、斬新かつ表情豊かなアレンジ力に定評のあるプレイヤーです。
ギターはウクレレの起源?
いろいろと細かな違いはあるものの、やっぱり似ている感は否めないウクレレとギター。もしかして遠い昔に、ギターが変化してウクレレになっていたりするのでしょうか?
歴史的にみると、ウクレレとギターは「遠い親戚」というのがもっとも正しいでしょう。
少しだけウクレレの歴史を紹介します。
ウクレレの歴史
今日びよく見る6本弦の「ギター」が確立されたのは、1700年代のヨーロッパだと言われています。
もちろんそれ以前の進化の過程で、同じような形をしながらも大きさ・材質・弦の種類などの異なった弦楽器がたくさん存在しました。それらは名前を変えて各地域の民族楽器としても定着しています。
なかでも、ポルトガルに「ブラギーニャ」と呼ばれる、ウクレレによく似た4本弦の楽器があります。
1800年代後半、ハワイはたくさんの移民を受け入れていました。そのなかにはポルトガルからの移民も含まれており、何人かの楽器職人もいたのです。
彼らはハワイに移住後、現地の木材であるコアを使って故郷の楽器ブラギーニャを作りました。その軽やかで愛らしいサウンドがハワイの海の民たちに気に入られ、現在のウクレレへと進化していったそうです。
気になる価格の違い
価格の違いについては、どちらもピンキリなので一概には言うことはできません。ウクレレにせよギターにせよ、数千円のものから、ヴィンテージになれば100万円を超えるものもあるのです。
ただし、言われてみると当然なのですが、サイズが大きいということは使われている原材料の量も多いということを意味します。
仮に初心者向けの定番モデルで比べてみると、ウクレレが1万円〜2万円なのに対し、ギターは2万円〜4万円。一般的にはギターの方が大きいぶん価格も高い傾向にあります。
ウクレレが向いている人・ギターが向いている人
これから楽器を始めたいけど、ウクレレがいいかギターがいいかで迷っている・・・という人も多いことでしょう。
簡単に両方の特徴をまとめておきます。
- ウクレレのちっちゃくて可愛いところが好き
- 癒されるような楽器がいい
- とにかく気軽に始めてみたい
- 最初の出費は安いほうがいい
- ギターに強いアコガレがある
- 迫力のある音が好み
- 屋外で多数の人の前で演奏してみたい
- 体や手がおっきいので、小さすぎるウクレレはちょっと・・・
まとめ
いかがでしたか?じっくり比べてみるといろいろと違うものですね。
総じてウクレレのほうがコンパクトで簡単、という意見に終始しましたが、もちろんただ簡単なだけではありません。
たとえばネックの小ささや弦の本数に制限があるからこそ生まれたたくさんの小技。ソロウクレレでは、音の余韻の短さをカバーするための繊細な運指も求められます。
小さいからと言って侮れない奥深さも併せ持つのがウクレレの魅力。
どんな楽器でも、練習さえ続ければ少しずつでも必ず上達します。大事なのは自分の理想の演奏する姿を思い浮かべながら、そのためにはどのような楽器が向いているかを考えることです。それが練習を楽しむ秘訣でもあります。
ウクレレの独学って失敗しやすい・・・
レッスン教室はやっぱり高額だし、移動の時間も無駄。やっぱり自分のテンポで練習できる独学が一番、そう考える人は多いでしょう。
今ではネットでたくさん情報が得られますし、ウクレレを独学で練習するのは昔に比べるとずいぶん簡単になりました。
しかし、むしろ情報が多すぎてどんなテクニックをどの順番で練習すればいいのか戸惑いませんか?
市販の教則本を買おうにも、不親切なものが多いのも事実。写真や文章だけではいまいち理解できず、欠かすことの出来ない基礎が抜け落ちてしまうこともあります。
こんなふうにウクレレを初めてすぐの頃にスムーズに練習できず、本当の楽しさを知らないままウクレレが押入れに行ってしまう…なんてことはよくあることです。
手軽に始められる趣味として大人にも人気の高いウクレレですが、時間のない大人だからこそ無駄なく・効率よく練習したいもの。
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