ストロークとは、右手を振り抜いて4本の弦をいちどに鳴らすこと。
ウクレレはなんと言ってもその軽やかで明るい音が特徴です。その性質を活かしたリズミカルで歯切れの良いストロークは、ウクレレ演奏の醍醐味と言っても良いでしょう。
この記事では、ストロークのリズム感を鍛えるコツと、初心者におススメの練習パターンを紹介します。
リズム感は、演奏の上手い下手を分ける決定的な要素でもあります。ぜひともじっくり取り組んでみてください。
ウクレレのいろいろなストロークパターン
まず、ウクレレのストロークのリズムにはどのようなものがあるのか、基本的な例を3つ紹介します。
ちなみにですが、ストロークは口ずさむことができなければ、右手で弾くことは絶対にできません。
ここではまだ実際に弾く必要はありませんので、下に「タ」で書かれてあるリズムを口ずさみながら見ていきましょう。
*TAB譜(数字と棒線で表すウクレレ専用の楽譜)の読み方がわからない、という方は先にこちらをどうぞ↓
【演奏動画】
パターン① 0:11〜
パターン② 0:29〜
パターン③ 0:47〜
これらのストロークは全て8ビートストロークと呼ばれるもので(8分音符で刻まれるから8ビート)、とても多くの曲で使われている基本的なストロークです。
この記事では、最終的にパターン③が弾けるようになるのを目標にします。
ストロークのリズム感を鍛える4ヶ条
まず普段の練習から、とある4つのポイントを押さえることで、ストロークのリズム感は飛躍的に向上します。
順に解説します。
1. ひとつひとつの音の長さを意識する
まず何より大切なのが、ひとつひとつの音の長さをしっかり把握しておくことです。
すでに紹介したストローク3つのパターンも、4分音符と8分音符という、異なる長さの音の組み合わせで出来ていました。
ちなみに4分音符は1小節を4等分した長さで、8分音符は8等分した長さでしたね(*4/4拍子の場合)。4分音符は8分音符の2倍の長さ、とも言えます。
こういった音の長さの感覚を持っておくことは、フレーズの正しいリズムを理解する上で非常に重要です。
2. メトロノームに合わせてストロークしてみよう
「1小節を4等分したら4分音符と言われても、そもそも1小節の長さはどれくらい?何秒?」と思うかもしれませんね。
もちろんこれは曲やフレーズによって変わります。速い曲もあれば遅い曲もありますから。
そんなときはメトロノームを使ってみるのがおすすめです。
メトロノームとは、一定のリズムで4分音符を刻み続ける器具のこと。テンポを変えることで4分音符の速さを調整できるので、弾きたい曲の速さ(小節の長さ)に合わせて練習ができます。
メトロノームを使っての練習は慣れるまで少し苦労しますが、そのぶんリズム感を鍛えるのにとてつもなく効果があります。
メトロノームについての詳しい解説はここでは省きます。アプリなどでも手に入るのでぜひとも練習に取り入れてみてください。
この記事ではひとまず下の動画を使って、一定のリズムに合わせて弾く練習をしてみましょう。
動画内の「チッ、チッ、チッ・・・」という音が4分音符にあたります。この音が4つで1小節です。
手始めに、このメトロノームの音に合わせて、シンプルな4分音符と8分音符を弾いてみましょう。
- 4分音符を弾いてみる
まずは4分音符から。
メトロノームの音とまったく同じタイミングで弦を鳴らします。ストロークはすべてダウンストローク。
一回一回のストロークで、4本の弦がキレイに鳴らせるように意識しましょう。
- 8分音符を弾いてみる
4分音符の間にもうひとつ音を加えることで、音の数を2倍にします。それが8分音符です。
この”間に加える音”ですが、アップストロークで弾いてください。
どう弾くかというと、腕の振り方や振るタイミングは4分音符と全く同じです。が、腕を下に振るときだけでなく、上に戻すときにも弦を鳴らすのです。
下に振るときと上に振るときで、音が出来るだけ同じになるよう意識しましょう。初めのうちは手首を固定してしまって、音がぎこちなくなってしまいがちです。徐々に力を抜いて、リラックスしながら弾けるようになるまで練習したいですね。
ちなみに今回、4分と8分を弾いてみましたが、腕の動きは同じなのに実際に出る音は違いました。後ほど説明しますが、この「腕の振りは同じだが、弦を鳴らしたり鳴らさなかったりする」という考え方はとても重要です。
この考え方に慣れるまで、4分と8分のストローク練習は重点的に行いましょう。
3. ストロークで大事なのは空ピッキング
ここまで同じ長さの音を均等に弾きましたが、ここからはパターン①と②を使って、異なる長さの音を組み合わせたストロークにチャレンジします。
- パターン①を弾いてみる
まずは、パターン①から。
赤い音符がメトロノームに合うように弾きます。同じフレーズが2つ連続しているので、そのうちのひとつに注目してみましょう。
フレーズの前半が4分音符、後半が8分音符になっていますね。4分も8分も腕の振り方は同じですが、4分のときは腕を振り上げるときに音を鳴らさないのでした。
そこから2つ目の音(アップ)だけ、弦に触れずに、腕だけ動かすのです。そうすると「タタタタ」から「タータタ」にかわります。
このまま続けて、パターン②を見てみましょう。
- パターン②を弾いてみる
パターン②も4分と8分の組み合わせですが、こんどは音を鳴らさない場所が違います。
4つの音のうちの、3つ目の音(ダウン)を空ピッキングにします。
人はたいていダウンストロークでリズムを取りがちなので、このフレーズは先ほどより難しく感じるのではないでしょうか。
しかし、つねに腕の動きを一定にしていればリズムが崩れることはありません。
このように空ピッキングを取り入れることで、右腕をつねに一定のリズムで規則的に動かすことができ、ストロークのリズムがグッと安定するのです。
4. オモテとウラ、という考え方
ここまで8分音符を弾く際に、奇数の順番の音をダウンストローク、偶数の音をアップストロークで弾いてきました。
ほとんどの曲は奇数の音を基準にしてリズムが組み立てられていますし、先ほども言ったようにリズムをとるならダウンストロークのほうが簡単だからです。
ちなみに音楽用語で、奇数の音のことをオモテ、偶数の音のことをウラ、と呼びます。
今後新しいフレーズを練習するとき、オモテはダウン、ウラはアップで腕を振る、というのを鉄則にしましょう。
おさらい
ここでストロークのリズム感を鍛える4つのポイントをおさらいしておきましょう。
- ひとつひとつの音の長さをしっかり把握する
- メトロノームを使う
- 空ピッキングを取り入れる
- オモテはダウン、ウラはアップ
おすすめのストローク練習パターンにチャレンジ
さて、すでにウラ(アップストローク)を空ピッキングにするパターン①と、オモテ(ダウンストローク)を空ピッキングにするパターン②を紹介しました。
もしまだこの二つのパターンが難しく感じるようであれば、いちど単純な8分音符のストロークの練習に戻ってください。腕を一定のリズムで動かすことに慣れるのです。その後に、徐々に2つ目の音や3つ目の音を抜いてみるのがコツです。
それでは最後に、8ビートストロークの代表格とも言うべきストローク、パターン③に挑戦します。
- パターン③を弾いてみる
お気付きのとおりパターン③は、フレーズの前半がパターン①と同じで、後半はオモテの空ピッキングを含んだフレーズになっています。
パターン③は初心者のストローク練習にはぴったりのフレーズです。パターン①と②が弾けるようになっていれば、きっとすぐに出来るはず。
まず動画の音に合わせて、普通に8分音符を弾いてみてください。オモテはダウン、ウラはアップを忘れずに。そして少しずつ2つ目のアップ、そして5つ目(楽譜上は4つ目)のダウンを抜いてみましょう。
5つ目のダウンを抜くのがちょっと戸惑うかもしれませんね。もしメトロノームに合わせるのが難しければ、一度メトロノームを止めてもぜんぜん大丈夫です。フォームとタイミングを確認しながらゆっくり弾いてみて、慣れてきたらまたメトロノームをつけてみれば良いのです。
このパターン③をいろいろなテンポで弾けるようになれば、他のストロークも難なくこなせるようになります。
頑張って練習してみてください。
ストロークはウクレレの本懐
冒頭にも言ったとおり、リズミカルで歯切れの良いストロークはウクレレの醍醐味であり、腕の見せどころでもあります。それにリズムが安定していると、安心して聴いていられるというか、演奏が玄人っぽく見えるんですよね。
今回紹介したリズム感を鍛えるコツは、ストロークだけでなく全ての演奏に通じます。今しっかり身につけておけば、後から大きな差になって出てくるのでおすすめですよ。