「ウクレレでドレミを弾いてみよう(写真と動画で解説)」では、ドレミファソラシドを単音で弾く方法、そして弦の押さえ方を紹介しました。
今回紹介するのはコードです。コードとはずばり和音(わおん)のこと。
コード演奏では、左手でいくつかの弦をいろいろな形で押さえ、それらを同時に鳴らします。ウクレレ演奏の基本中の基本ですが、これができれば弾き語りや伴奏もできてしまうので、ウクレレ初心者がまっ先に覚えたい内容です。
そして、世の中の名曲と呼ばれる曲には、実は簡単な4つのコードさえ覚えれば弾けてしまうものがたくさんあります。
この記事では、
- 超簡単な定番コード4つ
- コード演奏の右手の動き
- キレイな音を出すための弦の押さえ方
- 定番コード4つで弾ける2曲の練習動画と、そのほか58曲のリスト
などなどを紹介します。
目次
ウクレレのコード演奏での右手の動かし方
実際に左手でコードを押さえる前に、まずは右手の音の出し方を確認しましょう。
ウクレレの右手を使った音の出し方にはいろいろありますが、定番なのは単音弾き・ストローク・アルペジオの3つです。
- 単音弾き
- 親指、または人差し指や中指を使って、弦を1本ずつ・1音ずつ弾くこと。主旋律やメインフレーズに使われます。
- ストローク
- 右手を上下に一気に振り抜いて、4本の弦全てを同時に鳴らすこと。弾き語りの伴奏からソロウクレレまで使われ、ウクレレ演奏の基本となる奏法です。
- アルペジオ
- 複数の弦を、1本ずつ流れるように順番に弾くこと。それぞれの音の余韻が重なり合うように弾くことで、美しく情緒のある印象を出せます。静かな曲によく使います。
コード演奏ではまずストロークをマスターします。
親指を使ったストローク
ストロークは、弦を親指か人差し指で弾くのが一般的です。
最初に親指を使ったストロークにチャレンジしてみましょう。
親指を使ったストロークは、主にダウンストローク(=4弦から1弦にむかって、下方向に弦を鳴らすストローク)で使います。
【親指を使ったストローク】
- まずは単音引きと同じように構えます。基本の持ち方で、親指以外の指はウクレレの下側を支えましょう。
- 親指の力をぬいて、4弦から1弦まで均等なスピードで鳴らしきります。パペット人形を喋らせるように、親指全体を他の指に近づけるようなイメージです。「ポロロン」とクリアな音で鳴ればOK。
- 何度か連続して鳴らす練習もしましょう。親指を1弦側から4弦側に戻すときは、親指全体の反動を利用して、スムーズに。
【演奏動画】
まずは4弦から下に向かって、1弦ずつしっかりゆっくりと弾くところから始めて、徐々にスピードアップしてみてください。(ポーン・ポーン・ポーン・ポーン → ポンポンポンポン →ポロロン)
人差し指を使ったフォーム
人差し指だけで、ダウンストロークとアップストローク(=1弦から4弦にむかって、上方向に弦を鳴らすストローク)の両方を行うストロークです。
もっとも基本的なストロークで、これができればたいていの曲の弾き語りができます。
【人差し指を使ったストローク】
-
まずは基本の持ち方で、右手首の力を抜いてブラブラと動かしてください。
このときに手首の力が抜けなかったり、ウクレレ自体が大きく動いてしまうようであれば、ウクレレの持ち方を見直す必要があります。(ストラップを使ったり、膝の上で弾く場合は気にしなくて大丈夫です) - 次に、手のひらの力を完全に抜いて、親指と人差し指を写真のような形にします。(力を抜くと、人差し指は自然にカーブするはずです)
- 次に、残りの3本の指を、力は抜いたまま軽く握りこんでください。あるいは、人差し指よりちょっとだけ外に開きます。(どちらでも好きなほうで大丈夫です)
- この状態で、まるで人差し指についた水滴を払うかのように、サッと手を振ります。
- このとき、「手を振ったら、人差し指の爪が弦をなでていた」という感覚で弦を鳴らしてみてください。全ての弦がほぼ同時にうまく鳴ります。
- 弦にあたるのは爪の横側です。
- 弾くところはネックの根もととボディの境目あたりの、ちょっとボディ寄り。(ネック側に寄りすぎると、人差し指がネックに当たって引っかかってしまう)
- リズムにのって、均等なペースで繰りかえし振ってみましょう。慣れてきたら、下に振った手が上に返ってくるときにも、人差し指が弦をなでるように弾いてみましょう。これがアップストロークです。
- アップストロークでは、指の右写真の部分が弦にふれます。
- ダウンとアップが均等なリズム、音量になるように繰りかえし練習しましょう。
【演奏動画】
最初は人差し指が弦に引っかかってしまうかもしれませんが、くり返し練習すればするほど力が抜け、それぞれの弦に均等な力加減とちょうど良い深さであたるようになります。気長にがんばりましょう。
「ドアノブを回すように」と言う表現をよく見かけますが、これだけだと余計な力が入ってうまく弾けません。スナップを効かせて人差し指の水を払うイメージの方が近いでしょう。
いますぐできる、4つの定番コードを弾いてみよう
それでは待ちに待ったコード(和音)の演奏に挑戦してみましょう。
ここでは初心者でもすぐに押さえられる、4つの簡単なコードを紹介します。簡単ですが、とても多くの曲で使われているコードです。
ウクレレのコード一覧表を見ると数えきれないほどの種類のコードがありますが、実際にはめったに使わないものがほとんど。
まずはこれから紹介する4つのの基本的なコードで、音を鳴らす楽しみを知ってください。
右手は親指を使ったストロークでそれぞれ鳴らしてみて、慣れてくれば人差し指を使ったストロークにチャレンジしてもOKです。
C(シー)
ドの和音である、基本のC(シー)コード。
押さえ方もシンプルで、薬指で1弦3フレットを押さえるだけ。
写真では人差し指と中指が被って見えますが、弦を押さえているのは薬指だけです。簡単なコードですが、それでも次のポイントをしっかりチェックしておきましょう。
- ネックは、親指と人差し指の間にかるく乗っている状態です
- ネックの裏側を、親指の付け根のあたりで支えると安定します
- 左腕や手のひらの力は抜いて
Am(エー・マイナー)
Aのよこに小文字のmをつけたしたこのコードは、Am(エー・マイナー)と読みます。
「m(マイナー)」というのは、おおざっぱに言うと、通常のコードにちょっと悲しげな響きをもたせたコードのこと。
他のコードでも、Cm(シー・マイナー)、Gm(ジー・マイナー)といったぐあいに、マイナーコードが存在します。
このAmも、Cと同じく押さえるところは一か所だけなのでとても簡単。
- 弦を押さえる中指はきちんと曲げて、3弦や1弦にあたらないように気をつけて
F(エフ)
次はF(エフ)コード。ここからは押さえる指が2本に増えます。
Amの形のまま、人差し指を追加。2弦の1フレットを押さえます。
- Amと同じく、他の弦にあたらないように押さえるのがミソ
- 人差し指は、指の先のほうで弦を押さえて、しっかり指板に立てましょう
G7(ジー・セブンス)
さて次はなんと3本の指を使うコード。
G(ソ)のコードに、軽快な響きの7(セブンス)の音を足したG7(ジー・セブンス)です。
Fの中指はそのままに、人差し指と薬指で3弦と1弦の2フレットを押さえます。
- 指が太めの人だと少しきゅうくつに感じるかもしれませんが、指を柔軟にすれば押さえられます。練習前に指をストレッチしておくと良いですね
- 指先のどの部分で押さえると、他の弦を邪魔しないか、人・中・薬指それぞれで研究しましょう。力がもっとも安定して伝わる、軸のようなポイントが見つかるはずです
ウクレレのコードを指で押さえるコツ
いかがですか?慣れないと、左手の指で弦を押さえるのが結構難しいですよね。
キレイな音を出すためには左手の指のフォームがとても重要。とくにできるだけ少ない力でしっかりと弦を押さえるのがポイントです。
そのために気をつけないといけない項目は次の5つ。
指は曲げて、指板に立てるように弦を押さえる
指の関節はゆるく曲げて、指先が指板に立つように弦を押さえましょう。こうすることで、適切な力(一番リラックスした状態)で押さえることができます。
ネックは握りこまない
ネックを持つ左手は、親指と人差し指の間の部分がネックに軽く触れているくらい、を意識しましょう。
フレットの近く(サドル側)を押さえる
たまに「フレットを押さえる」という表現を聞きますが、弦を押さえるとき厳密にはフレットとフレットの間を押さえます。
たとえば、「3フレットを押さえる」というときは2フレットと3フレットの間を押さえます。このとき、できるだけ3フレットに近い場所を押さえるのがコツです。
ここで基礎的な話をひとつ。
弦を押さえると、弦はフレットに触れます。これによりフレットからサドルまで、つまり弦の振動する部分の長さが変わり、音程も変わります。
このときフレットとフレットの間のサドル側のフレットに近い部分を押さえることで、
- 押さえる力が小さくても、弦とフレットが触れ合う
- 弦とフレットの触れ合う部分が安定する
といった理由で、美しく安定した音が鳴らせます。
弦を上下にずらさない
指に力が入ってしまって、弦を微妙に下にひっぱったり、上にずらしてしまう人がいます。
これだと弦の張力が高くなってしまい、音程が微妙にずれてしまいます。
意図的に弦をずらして音程の変化を楽しむチョーキングやビブラートといったテクニックもありますが、そうでない限りはリラックスしてまっすぐ押さえるようにしましょう。
左手の爪は切っておく
試してみた方ならわかると思いますが、左手の爪が伸びているとうまく弦が押さえられません。
左手の爪はつねに整えておきましょう。
おさらい
弦を押さえるときの5つのポイントをおさらいしておきましょう。
- 指は曲げて、指板に立てるように弦を押さえる
- ネックは握りこまない
- フレットの近く(サドル側)を押さえる
- 弦を上下にずらさない
- 左手の爪は切っておく
4つのコードをつなげて鳴らしてみると・・・
コードの指の形をそれぞれくり返し練習して、なにも見ずともすぐにその形に出来るようにしましょう。
慣れてきたら、CからAm、AmからF、そしてFからG7と、コードからコードへ移動する練習をしてみましょう。
指をできるだけ滑らかに動かして、コードの合間に音が途切れる時間をできるだけ短くするのが重要です。
最初は難しいと思いますが、どれだけゆっくりでもいいので「これなら確実にできる」というくらいのスピードで、くり返し練習してみてください。余裕がでてきたら少しずつスピードを上げていきましょう。そうするうちに必ず上達します。
そのようにして、C→Am→F→G7と繋げて弾いてみると・・・
【演奏動画】日曜日よりの使者→スタンドバイミー
なんと、ほぼ同じコード進行で2曲弾けてしまいました。
4つのコードで弾ける曲リスト
「名曲と呼ばれるポップソングは、たいてい4つのコードで弾けてしまう」と言われるほど、このコード進行は定番です。
ちなみに、この4コードを並べ替えたりするだけで弾ける楽曲は以下のとおり。
- 夢の中へ(井上陽水)
- ルージュの伝言(荒井由美)
- ともだち(吉田拓郎)
- 知床旅情(加藤登紀子)
- 教訓Ⅰ(加川良)
- 僕の胸でおやすみ(かぐや姫)
- 竹田の子守唄(赤い鳥)
- 日曜日よりの使者(ザ・ハイロウズ)
- おどるポンポコリン(ちびまるこちゃんエンディング)
- スタンドバイミー(ベン・E・キング)
- カントリーロード(ジョン・デンバー)
- アロハオエ
- タフワフワイ
- 青葉城恋歌
- 雨あがりの夜空に
- きらきら星
- ちょうちょう
- しずかな湖畔
- 紅葉
- 夜汽車
- ロンドン橋
- ジャンバラヤ
- 夕焼小焼
- ふるさと
- たき火
- ハッピーバースデー
- 茶色の小瓶
- 森のくまさん
- ジングルベル
- 春の小川
- 春が来た
- 夏は来ぬ
- われは海の子
- 虫の声
- 野ばら
- 浜千鳥
- 故郷を離るる歌
- 故郷の廃家
- スワニーリバー
- 旅愁
- 雨降りお月さん
- モーツアルトの子守歌
- サントワマミー
- Let It Be(ビートルズ)
- Please Mister Postman(マーヴェレッツ)
- Don’t Stop Believing(ジャーニー)
- You’re Beautiful(ジェームズ・ブラント)
- Can You Feel The Love Tonight(from The Lion King)(エルトン・ジョン)
- Paparazzi(レディ・ガガ)
- Pokerface(レディ・ガガ)
- With Or Without You(U2)
- She Will Be Loved(マルーン5)
- No Woman No Cry(ボブ・マーリー)
- Take On Me(アーハ)
- Africa(トト)
- If I Were A Boy(ビヨンセ)
- Complicated(アヴリル・ラヴィーン)
- It’s My Life(ボン・ジョヴィ)
なんとまぁ。
たった4つのコードでこれだけたくさんの曲が弾けるのですから、ヤル気がでてきますね。
さらにコードの種類やストロークのバリエーションを増やしていくと、ありとあらゆる曲が弾けるようになります。
ウクレレのコードの覚え方
ただコードの種類を増やすと言っても、コードの種類はまさに無限ほどもあります。なにかコードの覚え方のコツがあれば良いのですが・・・残念ながら、初心者におすすめできる裏技のようなものはありません。
例えば、「ルートさえ覚えれば、そこから5度と7度の場所を押さえれば良いだけ!」なんてアドバイスもできなくはありません。しかしこの時点ですでに「ちょっと何言ってるかわかんないんですけど・・・」となってしまいませんか?基礎的な音楽知識がないとかなり飲み込みずらいです。管理人もこれを理解したのは弾き始めて1年くらい経ってからでした。
おすすめは、まずAからGまでのメジャーとマイナーだけ先に全部覚えてしまいましょう!ひたすら弾いて暗記して、あとは好きな曲に出てくるコードをその都度覚えるのが一番挫折しない方法です。そうやってるうちにちょこちょこ音楽理論の勉強もすれば、ルートとか7度とかがなんのことかわかってくるはずです。
少なくとも4つの定番コードが弾けるようになったら、脱初心者は目の前!頑張りましょう!