ウクレレは楽譜が読めなくてOK。便利なTAB譜の読み方をさくっと解説(初級編)
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基本的な音の出しかたや弦を押さえるコツを覚えたら、もういくつかのカンタンな曲は弾けるようになっているはずです。
ここからは自分の好きな曲も含めて、いろいろな曲に挑戦したくなりますよね。
そうなると書籍やネット上で楽譜を探して一人で練習することになるのですが、ここでぶつかるのが「・・・楽譜、読めない」という悩み。
楽譜といえば思い浮かぶのは、あのオタマジャクシのような五線譜。
小さいころにピアノを習っていたり吹奏楽部にでも入っていない限り、たいていの人はちんぷんかんぷんではないでしょうか。
しかし、心配は不要です。ウクレレに五線譜は一切必要ありません。
五線譜が読めなくても、ソロウクレレだってポップスだってジャズだって、なんだって弾けます。
なぜなら、ウクレレにはTAB譜(タブふ)という、5分で覚えられるウクレレ専用の楽譜があるからです。
※当記事は、ウクレレを始めたばかりの人のために、初歩的な内容に限定して説明しています。ハンマリングやグリッサンドといった、もう少し進んだTAB譜の読み方が知りたい方は「【ウクレレ】TAB譜の読み方早見表 *準備中*」をご覧ください。
そもそも五線譜はなぜとっつきにくいのか
TAB譜をより理解するための、ちょっとした前置きなのでお付き合いください。
何を隠そう管理人も、ウクレレの楽譜を見るとき五線譜を見ることはありません。音楽的な経験値を考えればもちろん読めたほうが良いのでしょうが、やはりおっくうに感じてしまいます。
そもそもなぜ五線譜はこんなにもとっつきにくく感じられるのでしょうか。
下の画像を見てください。
そもそも五線譜は、まずおたまじゃくしの位置を見て、それがドなのかソなのか、なんの音程を表すのかを判断しなければなりません。
そしてそこからさらに、ドやソの音を出すにはウクレレのどこを押さえればいいのか、をもう一度頭のなかで考える必要があるのです。
これは例えるなら、中国語を日本語に翻訳してそれをさらに英語に訳すようなもの。
このプロセスを瞬時に頭のなかで行うには、それなりの訓練が必要です。
TAB譜とはなにもの?読み方を解説
じゃあそのTAB譜(タブふ)ってのは何が違うのさ、という話ですが、まずは下のの二つの画像をご覧ください。
一つ目は指板を押さえた時のどの音程が鳴るかを示したもの、二つ目はドレミファソラシドの弾き方をTAB譜であらわしたものです。
じっと見比べてみると、あることに気づきませんか?ドレミ~がすでに弾ける人ならすぐにわかるかもしれませんね。
そう、TAB譜に書かれている4つの線、これはウクレレの4本の弦を表しているのです。
TAB譜の一番上の線はウクレレの1弦をあらわし、一番下の線は4弦をあらわしています。
ちょうどウクレレのヘッドを左に向けて置いたときの並びと一緒です。
ウクレレを構えたときに、上から指板を見下ろしたときの並び、と言ってもよいかもしれません。
そして、それぞれの線の上に書かれている
数字は、
押さえるフレットを示しています。
あらためて、TAB譜と実際に押さえる場所を見比べてみると・・・
とてもわかりやすいですね。
*ちなみに「0」は開放音(どこもフレットを押さえずに弦を鳴らした音)を意味します。
つまり、TAB譜とは指板上のどのフレットを押さえればよいか、線と数字でシンプルに表現したものです。
強いていうなら、誰がみてもわかるように、英語にカタカナで読みがなをふるようなもの。
そしてほとんどのウクレレ用の楽譜にはこのTAB譜がついてくるので、「TAB譜さえ読めればOK」というわけなのです。
TAB譜を見ながらドレミを弾いてみよう
それではあらためてTAB譜を見ながらドレミ~を弾いてみましょう。(もうここまでで弾けるようになっているかもしれませんが)
TAB譜では基本的に、横並びになった数字を、左から順番に弾いていきます。
書いてある数字を左から順に、ひとつずつ弾いてみましょう。
【演奏動画:ドレミ〜の単音弾き】
フレットはいちいち数えてられない
ちなみに、TAB譜で5や7といった高いポジションの数字が出てきたとき、1、2、3…7と毎回フレットを数えるわけにはいきません。
そんなときはポジションマークを目印にしましょう。
ウクレレの5・7・10フレットには、演奏の目印となる丸ポチがついています。これをポジションマークと呼びます。(3フレットや12フレットについていることもあります)
いつもポジションマークを目印にしながら弾くようにすると、押さえたいフレットがどこか迷うことがなくなりますよ。
TAB譜を見ながらコードを弾いてみよう
上の画像のように、数字がタテに一直線に並んだもの、これは「これらの音を一気に弾いてください」という意味です。
ずばりコードストロークのことですね。
例として、G7(ジー・セブンス)の押さえ方と、そのTAB譜を見くらべてみましょう。
リズムとTAB譜
ここまでで、どの弦のどのフレットを押さえればよいかをTAB譜から読みとれるようになりました。
次は、どんなリズムで弾けばよいか、まで読むことができれば、もはや原曲を知らずともTAB譜だけで曲を演奏できるようになります。
音の長さやリズムの表現
ひとつひとつの音の長さや、それらを組み合わせたリズムは、数字の上や下についているタテの棒線で表現されます。
この表現は五線譜と同じです。おたまじゃくしのしっぽの部分ですね。
このしっぽの形や組み合わせから、どのようなリズムで弾くのかを読み取ります。
音の長さの種類
それではまず音の長さの読み取り方について解説します。
楽譜をみると、いくつかの音符(数字)が並んでいて、それらがタテの線でぴしゃりと区切られていますよね。
この区切られたひとつの区間を、小節といいます。
そして音の長さの種類は、1小節を何等分した長さか、によって分けられます。
4分音符だとか8分音符という言葉を聞いたことがありませんか?これは音の長さを表す名前なのですが、4分音符は1小節を4等分した長さ、8分音符は1小節を8等分した長さ、というわけです。
ちなみに、メトロノームを使ったことはあるでしょうか。あの音を思い出してみてください。
チーン・チ・チ・チ、チーン・チ・チ・チという音ですね。
4回に1回鳴る「チーン」という音、これ1回で1小節分にあたります。
そしてそれを4つに等分した「チ」ひとつは、4分音符と同じ長さになるのです。
*できるだけすんなりと音符の世界に入りこめるよう、4分の4拍子に限定して説明しています。厳密には他の拍子では4分音符が1小節を4等分した長さではなくなります。しかし、これからTAB譜に親しんでいくあなたにはまだ必要ありませんので、今はまだそれほどきにする必要はありません。
それでは音の長さの種類と、それがTAB譜でどのように表現されるかを見ていきましょう。
・全音符
1小節まるっとぜんぶ、音を伸ばしきる音符です。よく見る音符のなかではもっとも長い音。
TAB譜では棒線はなく、数字を丸で囲って表現します。
・2分音符
1小節の2分の1の長さ、4分音符の2倍の長さです。全音符にタテの棒線がつきます。
・4分音符
1小節を4等分した長さです。とてもよく使う音符です。
丸は無くなり、ただの数字にタテの棒線がつきます。
・8分音符
1小節を8等分した長さ、4分音符の2分の1の長さです。こちらもよく使う音符。
ここから棒線の先にニョロニョロが生えます。(ちなみにニョロニョロの正式名称は符尾[ふび])
・16分音符
1小節を16等分した長さ、8分音符の2分の1の長さです。
曲の速さにもよりますが、このあたりから1音の長さがとても短くなります。
・32分音符
1小節を32等分した長さ、16分音符のさらに2分の1の長さです。
速すぎてあまり使うことはありません。
・符点音符
数字の横に、小さな黒い点がついていることがあります。これは
符点(ふてん)と呼ばれ、もとの音の1.5倍の長さという意味です。
たとえば、4分音符の横に符点がついていれば、4分音符の1.5倍の長さとなり、符点4分音符と呼びます。これは4分音符一つと8分音符一つを足した長さの音と同じです。
音符が連続して並んだとき
ニョロニョロがついた音符、つまり8分音符、16分音符、32分音符などの音符が連続して並ぶとき、ニョロニョロはとなりのニョロニョロと合体して、まっすぐなヨコ線になります。
そして、異なる長さの音符が連続するとき、TAB譜上では次のようにヨコ線を書き分けます。
休符
下の記号は、休符(きゅうふ)と呼ばれる、「ある一定の長さ、弾くのを休む(無音にする)」という意味の記号です。
音符と同じく、それぞれ小節を何等分した長さかによって種類があります。
ダウンストロークとアップストローク
下の画像は、連続した16分音符と、それをダウンストロークで弾くのか、アップストロークで弾くのかをあらわしたものです。
この記号は、ダウンとアップを整理して効率的なストロークをするために、楽譜に自分で書き込んで使ったりします。
親切なTAB譜だと、もともと書いてあることも。
スラー
数字から数字へと繋がっている曲線は、スラーと呼ばれる記号です。
音符にスラーがかかっている場合、弾くのは最初の音だけで、後の音は弾かずに伸ばします。
複数の音符に連続してスラーがかかっているときは、かかっているすべての音符の合計ぶん伸ばします。
まとめ
簡単なTAB譜といえども、記事の後半からは覚えることも多く、少し大変そうに見えましたね。
しかしすべてを一度に覚える必要はまったくありません。
ひとまずこの記事では、
- TAB譜とは、指板上の、どの弦とどのフレットを押さえればよいか、線と数字でシンプルに表現したもの
- 4分音符は1小節を4等分、8分音符は8等分、16分音符は16等分したもの
- それぞれが連続すると、ニョロニョロが合体する
ということだけ覚えてください。
初心者用のTAB譜のほとんどはこの知識だけで読めてしまいます。
残りの知識は、やはり実際の曲を通して直面しないとなかなか頭に入りません。わからない記号に出会ったら、その時はまたこの記事に戻ってきてもらえれば幸いです。
また、そもそも探していた情報がこの記事に無ければ、「【ウクレレ】TAB譜の読み方早見表 *準備中*」で見つかると思いますのでチェックしてみてください。
それでは次は、実際にこれらのTAB譜を見ながら、いろいろなリズムのストロークを演奏してみましょう!