ウクレレは、右手で弦を弾(はじ)くことで音が出ます。4本の弦が振動し、それに木材が共鳴することで音が鳴るのです。
憧れの曲や理想の演奏スタイルも、なにはともあれ音を出すところから!
この記事では、ウクレレの基本的な右手の動かし方と音の出し方を解説していきます。
右手の弾き方の種類
右手を使った音の出し方にはいろいろありますが、大きく分けると次の3つに分類できます。
- 単音弾き
- ストローク
- アルペジオ
それぞれの弾き方をかんたんに説明します。(細かいフォームの説明などは後ほど。)
単音弾き
ストローク
ちなみにストロークは和製英語で、英語ではStrum(ストラム)といいます。
アルペジオ
それぞれの弾き方を動画に撮ってみました。
【演奏動画】
単音弾きの基本フォーム
それではそれぞれの弾き方のフォームを解説していきます。
まずは単音弾きで、音を出すことから始めてみましょう。
単音弾きには、親指をつかうパターンと、人差し指+中指をつかうパターンがあります。ここではまず一番よく使う親指での単音弾きをマスターしましょう。
動画ではドレミファソラシドを演奏しましたが、ここでは弦を押さえず、開放弦を鳴らすだけで大丈夫です。
*右手を安定して動かすためには、ウクレレを安定して持つことも大切です。ウクレレの持ち方に自信のない方は、先に下記の記事を見ておくと、練習の効果が倍増しますよ。
それではさっそく、単音弾きにチャレンジしてみましょう。
- ウクレレをしっかり抱えます。もちろんストラップを使ってもOK。
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親指以外の4本指*で、ウクレレのボディの下の部分を支えます。
(*=ウクレレが安定すればよいので、3本でも2本でも構いません。) - 親指の右画像の部分を、弦に軽くそえます。(爪を伸ばす場合は、爪をそえて)
- 弦はどの弦でも構いませんが、弾く位置はネックの根もととサウンドホールの間あたりです。
- 親指を根もとから少しだけ動かして、弦を弾いてみましょう。親指が曲がったり、力んで張ったりしないように。「親指の力が抜けて、ポトッと下に落ちてしまった」というイメージが近いかも。
-
弦をはじいた直後、一つ下の弦で親指をとめます。(このときも親指は力を抜いて)
1弦を弾くときだけは下に弦がありません。親指が弦から離れすぎないように。 - 慣れてきたら、親指を弦にそえていない状態(弦から離れた状態)から弦を鳴らしてみましょう。
【演奏動画】
親指を弦に引っかける力が強すぎると、思った通りのタイミングで弾くことができません。
親指の力は抜いて、どのくらいの強さでどのくらいの音量が出るのか、また、いちばん美しい音色が出る強さはどのくらいか、いろいろ試してみましょう。
より余韻が長くなるように音を出すと、美しい音になります。
ストロークの基本フォーム
軽やかさが特徴のウクレレにとって、ストロークはいちばん重要な奏法です。
ストロークにおける右手の使い方は完全にマスターしておきましょう。
ストロークのフォームは多種多様
【演奏動画】
”完全にマスター”とは言ったものの、上の動画で紹介しているように、ストロークにはとてもたくさんの種類のフォームがあります。
出したい音色によってフォームを変えることもあれば、そもそも人によって違う場合も。
好きなウクレレプレーヤーのフォームを真似してもらうのが一番いいのですが、
この記事ではひとまず、
- 親指を使ったストローク
- 人差し指を使ったストローク
の、もっとも基本的なふたつのストロークを解説します。
このふたつは使う頻度も一番多く、複雑なアレンジでなければこのふたつでたいていの曲が演奏できます。
その他のストロークフォームについては、「ウクレレのいろいろなストロークを一挙解説」にて解説しています。慣れてきたころに覗いてみて頂ければ、ストロークの引き出しが増えて、表現の幅も広がるでしょう。
それでは、まずは親指を使ったストロークから解説します。
親指を使ったストローク
親指を使ったストロークは、主にダウンストローク(=4弦から1弦にむかって、下方向に弦を鳴らすストローク)で使います。
- まずは単音引きと同じように構えます。基本の持ち方で、親指以外の指はウクレレの下側を支えましょう。
- 親指の力をぬいて、4弦から1弦まで均等なスピードで鳴らしきります。パペット人形を喋らせるように、親指全体を他の指に近づけるようなイメージです。「ポロロン」とクリアな音で鳴ればOK。
- 何度か連続して鳴らす練習もしましょう。親指を1弦側から4弦側に戻すときは、親指全体の反動を利用して、スムーズに。
【演奏動画】
まずは4弦から下に向かって、1弦ずつしっかりゆっくりと弾くところから始めて、徐々にスピードアップしてみてください。(ポーン・ポーン・ポーン・ポーン → ポンポンポンポン →ポロロン)
人差し指を使ったフォーム
人差し指だけで、ダウンストロークとアップストローク(=1弦から4弦にむかって、上方向に弦を鳴らすストローク)の両方を行うストロークです。
もっとも基本的なストロークで、これができればたいていの曲の弾き語りができます。
-
まずは基本の持ち方で、右手首の力を抜いてブラブラと動かしてください。
このときに手首の力が抜けなかったり、ウクレレ自体が大きく動いてしまうようであれば、ウクレレの持ち方を見直す必要があります。(ストラップを使ったり、膝の上で弾く場合は気にしなくて大丈夫です) - 次に、手のひらの力を完全に抜いて、親指と人差し指を写真のような形にします。(力を抜くと、人差し指は自然にカーブするはずです)
- 次に、残りの3本の指を、力は抜いたまま軽く握りこんでください。あるいは、人差し指よりちょっとだけ外に開きます。(どちらでも好きなほうで大丈夫です)
- この状態で、まるで人差し指についた水滴を払うかのように、サッと手を振ります。
- このとき、「手を振ったら、人差し指の爪が弦をなでていた」という感覚で弦を鳴らしてみてください。全ての弦がほぼ同時にうまく鳴ります。
- 弦にあたるのは爪の横側です。
- 弾くところはネックの根もととボディの境目あたりの、ちょっとボディ寄り。(ネック側に寄りすぎると、人差し指がネックに当たって引っかかってしまう)
- リズムにのって、均等なペースで繰りかえし振ってみましょう。慣れてきたら、下に振った手が上に返ってくるときにも、人差し指が弦をなでるように弾いてみましょう。これがアップストロークです。
- アップストロークでは、指の右写真の部分が弦にふれます。
- ダウンとアップが均等なリズム、音量になるように繰りかえし練習しましょう。
【演奏動画】
最初は人差し指が弦に引っかかってしまうかもしれませんが、くり返し練習すればするほど力が抜け、それぞれの弦に均等な力加減とちょうど良い深さであたるようになります。気長にがんばりましょう。
「ドアノブを回すように」と言う表現をよく見かけますが、これだけだと余計な力が入ってうまく弾けません。スナップを効かせて人差し指の水を払うイメージの方が近いでしょう。
アルペジオの基本フォーム
【演奏動画】
スローな曲にはかかせないアルペジオですが、少し難易度が高いので詳しいフォームについては別の記事で解説することにします。
初心者は、まずはストロークに慣れるのが先決です。
ストロークの右手の動かし方に慣れたら、次はコード(和音)を押さえながら弾く練習をするのですが、ストロークでコードをうまく鳴らすことができていれば、アルペジオの習得もずっと早くなります。
右手の爪は伸ばすべき?
弦を弾く右手の爪の長さについては、人によって様々です。
爪を伸ばして弾くと、軽快ではっきりしたアタックの強い音になります。逆に爪を短くして、指の肉で弾くようにすると、丸みを帯びた甘いトーンになります。
これについてはもう好みでしかないのですが、一般的には親指と人差し指の爪だけ少し伸ばす人が多いようです。
ちなみにここまでの写真を見て頂ければわかる通り、管理人はすべての爪を短くしています。理由は単純で、パソコンでタイピングするときに死ぬほど邪魔だからです・・・。
爪をのばすと、とくに親指の単音弾きのニュアンスが変わります。
指の動かし方も多少変える必要があるので、これからいろいろ試すのであればまずは親指だけ伸ばしてみて、音の違いを感じて判断するとよいでしょう。
まとめ
あのジェイク・シマブクロさんを一躍有名にした、「Ukulele Weeps (ぼくのウクレレが優しく泣くとき)」というビートルズのカバー曲をご存知ですか?
曲のタイトルのとおり、ウクレレがほんとうに泣いてるかのような、表現豊かなサウンドです。
ウクレレの音が「泣いたり」「跳ねたり」「前に出たり」と、いろいろと表情をもたせるための最も重要な要素が、右手の使い方です。
どのような弾きかたをすればどんな音になるのか、楽しみながらいろいろと試してみてください。
それでは次は、左手の弦の押さえ方を学んでいろんな音程を出してみましょう!